相談事例

電話での見積りと請求額が違う
急な転勤のために、事業者に下見をしてもらう時間がありませんでした。電話で状況を話して15万円と見積られ、見積書が送られてきましたが、引っ越し後の請求額は19万円でした。

利用者が事業者に電話で引っ越しを依頼し、「15万円で引き受けます」と事業者が答え、利用者が了解した時点で運送契約が成立したとみなされます。事業者は電話での見積りのあと、見積書を発行することになっています[引越約款・第3条2項]。事例のケースの場合、利用者が電話で説明した条件(荷物の量や荷造り作業の責任範囲など)通りであれば、約束した運賃・料金以外の費用を支払う必要はありません。ただし、利用者の都合で電話で話した条件と実際の条件が違っていた場合は、事業者から運賃等の合計額を請求されます[引越約款・第19条4項]。

内金・手付金は必要か
事業者から、内金を払わないと荷物を運ばないと言われましたが、これは払わなければいけませんか。

事業者は、見積りの際に内金・手付金などは請求しないことになっています[引越約款・第3条5項]。運賃等は、事業者に荷物を渡す際に支払えばよいのですが、利用者が合意すれば前払いすることも可能です。

早めに引越を取り消したのに解約料を請求された
1ヶ月後に予約していた引っ越しを、都合が悪くなり解約しました。その際、解約料を払ってほしいと言われました。

見積書に記載された引っ越し日の2日前までの解約・延期依頼に対して、事業者は手数料を請求することはできません。また、急な解約であっても、請求できる手数料は前日で運賃の10パーセント以内、当日で20パーセント以内と決められています[引越約款・第21条]。

請求額の全額は賠償できないと言われた
引っ越しの際、天井と照明器具、さらに食器の一部が壊れました。賠償を申し入れたところ、保険で処理をするので請求額の全額は支払えないと返事が来ました。作業員の不注意でこうなったのに、納得できません。

引っ越し作業において破損事故が起こってしまった場合、その賠償方法は「現状の復帰、利用者の財産的損失の補填」、すなわち専門家による修理・復元が原則です。事業者はそれに要した費用を損害の賠償額として支払うことになります。全損のように復元不可能となった場合は、購入時の価格ではなく時価(購入価格や使用年数・耐用年数を考慮した額)がその賠償額となります。

このケースでは、まず天井は修理代全額、照明器具の場合は修理代(修理不可能な場合は時価相当額)、食器については日常使用しているものであれば時価を補償するのが一般的です。

4ヶ月たってからエアコンのキズを発見
3月に引っ越しをして、7月にエアコンを使おうとして取り出したら、エアコンにキズを見つけました。事業者に弁償するよう言いましたが、とりあってもらえません。

事業者の事故に関する責任について、荷物を引き渡した日から3ヶ月以内に通知をしないと、事業者の責任は消滅します[引越約款・第25条1項]。

これは、エアコンや季節の衣類など、その季節にならないと使わないものがあるので、3ヶ月という期間が設けられているのです。ただし、事業者自身が荷物の紛失や破損の事実を認めている場合は、この限りではありません[引越約款・第25条2項]。

引っ越ししてすぐに使用しない荷物であっても、早めに梱包を解き、荷物の状態を確認しておくことが肝心です。